ティーンズのページ
2018年1月~6月
2018年に紹介した本からベスト11を選びました!
図書館員がおすすめする本2018ベスト11
1月
高楼方子 作 出久根育 絵 | |
偕成社 | |
旧市街通りに入ると、そこにはいつも見ている景色とは違う日常が広がっていました。通りにある小さな商会で働く青年が打ち明けられた奇妙な秘密とは?広場に面したよろずやに設置されたゲームに長年通い続ける男と、よろずやの夫婦の思いとは?8つの物語が紡ぐ、路地裏を舞台にしたちょっぴりミステリアスな世界へ、夢見る少女ピッパ・フィンチと一緒に、あなたも出かけてみませんか? |
ペーテル・エクベリ 作 イェンス・アールボム 絵 枇谷玲子 訳 | |
晶文社 | |
時には、なぜ自分は生き続けなければならないんだろう?人生の意味はどこにあるのだろう?そう考えることがあるかもしれません。実はこの問いは哲学のもっともオーソドックスな問いの1つであり、これまでにたくさんの哲学者たちが答えを導いてきました。この本はそんな先人の知恵を中高生にもわかりやすく噛み砕いて示した哲学入門書です。でも君がどう生きるのか、その正解は書かれてはいません。ぜひ人生に迷ったときにはこの本を開いて、自分自身の答えを考えてみてください。 |
2月
梨屋アリエ 著 | |
静山社 | |
情報通信技術を導入する特別推進校に指定された日々希(ひびき)の中学校では、生徒にマインドスコープ(人が頭で考えていることを言葉に翻訳する装置)が配布されました。友だちの心が覗けたら、より深くつき合えるのだろうか。不安がなくなるのだろうか。傷つけられることもなくなるのだろうか。思春期の少女たちが抱える孤独と友だち関係を、リアルに描く近未来小説です。 |
ピッパ・グッドハート 著 千葉茂樹 訳 | |
あすなろ書房 | |
ビルは知的好奇心が旺盛でするどい観察眼を持つ13歳です。ビルが暮らす村で良質な化石肥料になるコプロライトが発見され、あちこちの花畑で採掘がはじまります。ビルの家では園芸家の父が仕事を失い、病弱な母はどんどん弱っていきます。採掘場で働きはじめたビルは、笑っているようにみえる頭の化石を見つけ「ワニくん」と名づけます。相棒のアルフと「ワニくん」を掘り出した夜、農園が放火され、アルフの父が疑われ捕まってしまいます。アルフの父の弁護費用を稼ぐため、ビルは「ワニくん」である方法を思いつきます。いくつも謎が絡み合うスリリングな物語です。 |
前田亜紀 著 | |
ポプラ社 | |
今日あなたが食べたお昼ごはんは、どうやって作られたか知っていますか?調理の仕方だけではありません。材料の1つ1つがどうやって育てられて、食材として加工されるのか、考えたことはありますか。本書は、「グレートジャーニー」で有名な探険家・関野吉晴氏が教鞭をとる大学のゼミで、学生たちがカレーライスを一から作ってみる体験を密着取材した記録です。野菜を育て、米を育て、肉になる鳥も育て、塩もつくりに行く。「食べる」と「育てる」を体を使って学んだ学生たちと、本を通して一緒に感じてみませんか。 |
3月
中川なをみ 著 スカイエマ 絵 | |
ポプラ社 | |
秀吉や家康をはじめとする、歴史上の人物をからませながら、迫力ある筆致で激動の時代を生き抜く人間の生きざまがえがかれています。7歳で母と別れ、縫い物師として一人で生きていかなければならなくなった平史郎。仕事を通じて鉄砲衆のタツ、絵描きの周二、朝鮮から連れてこられた娘おたあ、戦国武将の小西行長と出会い、平史郎は自分を確立していきます。国と国との関係(日本と朝鮮)や、宗教(キリシタン)といった歴史上の史実をたどりながら、いつしか主人公に共感して胸が熱くなります。 |
千葉聡 著 | |
岩波書店 | |
歌人であり、国語教師でもある著者と、生徒たちとの交流を描いた話です。横浜市立桜丘高校に赴任してきた「ちばさと」先生。1年目は、生徒たちとの距離を感じていましたが、2年目からは短歌や物語を通して子どもたちとの絆が深まります。お話の合間に場面に合った色々な短歌が出てきます。「もう俺は今日から生まれかわるのに昨日のことで怒られている」など、悩み多き高校生の気持ちにスッと入っていくような素敵な短歌がたくさん載っています。 |
4月
ジョー・コットリル 作 杉田七重 訳 | |
小学館 | |
5年前に母が亡くなってから、父と二人暮らしのカリプソ。父は心を閉ざし、いつも書斎に引きこもっていました。そんなひとりぼっちのカリプソの心の支えは大好きな本でした。家には母が残してくれた本が、カリプソ専用の図書室と、父の書斎に置かれていました。ところがある日、父の書斎の本棚を見ると、本が一冊も無く沢山のレモンが置かれていました。父の行動に憤慨するカリプソ。そんな二人の心を開いたのは、本好きな転校生のメイとその家族でした。メイの家族と交流するうちに閉ざされた心は徐々に開かれ、人を愛する心を取り戻していくのです。巻末には、カリプソの読書案内が掲載されています。 |
インフォビジュアル研究所 著 | |
太田出版 | |
人口知能(AI)技術の急速な発達は今後私達の生活に様々な影響を与えると言われています。この本ではAIの歴史、基本的事項、仕事へのインパクト、負の側面についてが、書名のとおり中高生にも理解できるよう書かれています。現在ある職業の半分近くは、10~20年後にAIに奪われるという指摘もあります。10年後に実社会に出る中高生を対象に、キャリア教育の視点からも読むことができます。 |
小野田博一 著 | |
PHP研究所 | |
意見を理詰めに述べるのが苦手な日本人。本書では、国際的な場で意見を述べることができるようになるためには、まず理詰めに考える必要があるとして、そのための土台作りの方法から提示されています。「論理的思考」をするための具体的なトレーニング方法が指南されていますので、その日からさっそく取り入れていくことができます。ポイントをしぼった簡潔な章立てで、ティーンズも手に取りやすい1冊です。 |
5月
森埜こみち 作 山田和明 絵 | |
講談社 | |
中学1年生の伊藤空良は、おしゃべりが苦手でクラスのグループの輪の中に入れません。何か夢中になるものを見つけようと部活の入部を考えますが、自分に合う部活もみつかりません。そんな時、下駄箱の靴の上に乗っていた「しゃべりは苦手でも」とはじまる文芸部の勧誘チラシを見つけます。見学だけのつもりだった空良は「五七五の17文字で言えることがある!」という俳句の面白さを知り、入部を決めます。俳句を通して臆病だった空良が少しずつ成長していく物語で、季語や読まれた句の解説もあり俳句を身近に感じることができます。 |
NHKスペシャル取材班 著 | |
新潮社 | |
2017年2月12日に放送されたNHKスペシャル「見えない“貧困”~未来を奪われる子どもたち~」をベースに書き下ろされたものです。働くことよりも学ぶことを優先すべき子どもたちが、家計を支えるために働かなくてはならない現実、その背景について解説しています。”見えない貧困”と言われるワーキングプアは、その当事者も自覚することが難しいと書かれています。高校生が家計や労働について振り返るきっかけになります。 |
6月
ケイトリン・アリフィレンカ 著 マーティン・ギャンダ 著 リズ・ウェルチ 編 大浦千鶴子 訳 | |
PHP研究所 | |
アメリカのごく普通の家庭に住むケイトリンと、アフリカのジンバブエで暮らしているマーティンが、学校の授業がきっかけで文通を始めます。何回か手紙をやりとりするうちにケイトリンは、マーティンと自分の暮らしに激しい貧富の差がある事に気づきます。ジンバブエのインフレ不況やマーティンの切手や便箋も買えない貧しさを知ったケイトリンは、手紙と一緒に、あるものをマーティンに送ります。そのことがきっかけとなりマーティンの世界が意外な方向に展開し始め、文通を始めてから6年後、ついにマーティンとケイトリンの希望が叶います。実在する2人の本当のお話です。 |
NHK「オトナヘノベル」制作班 編 みうらかれん 著 長江優子 著 げみ 画 | |
金の星社 | |
NHKに寄せられた実体験を参考にして、十代の若者の悩みや不安をテーマに作られたEテレ番組「オトナヘノベル」。この本はその元になった小説を再編集したものです。3つのお話が収められています。主人公3人がそれぞれの物語の中で、コンプレックスをどう解決していったのか。そして、友人たちはどう彼らを助けたのかが描かれています。 |