ティーンズのページ
2022年7月~12月
12月
長谷川敦 著 | |
旬報社 | |
荒川は江戸時代から現在までの間に、川の流れだけでなく川の名称も変化しているユニークな川です。この本では、昔の人が生活を便利で安全なものにするために、川をどう活用し整備してきたのか、今後水害から街を守り川とともに暮らしていくには、“流域治水”が必要となることを知る事ができます。“流域治水”では、流域住民一人一人の行動、荒天時の水の使用を減らすなどの取り組みが重要だという事が分かります。 |
高橋裕子 著 | |
岩波書店 | |
6歳から11年間、女子国費留学生としてアメリカへ留学した津田梅子。帰国後も度々海外で学んだ梅子は、女子のための専門教育の塾を開くという夢を持ちます。強い絆で結ばれた人々の支援を受け、夢を実現するため、信念を貫き通し行動していった梅子。女性が高等教育を受けることが難しかった時代に、彼女が何を思い、どのように夢を叶え、後世にどのような成果をもたらしたかを知ることができる本です。 |
大空幸星 著 | |
河出書房新社 | |
両親が離婚し父親と暮らす中、父親は仕事と子育ての忙しさから著者のことを虐待します。その後父親と離れ母親と暮らしますが、そこでも虐待にあい、誰にも相談出来ない孤独感から自殺を考えるようになりました。しかし一人の教師との出会いで前向きに生きられるようになり、自身の経験を元に、NPO法人「あなたのいばしょ」を立ち上げます。孤独とはどういうものかや、前向きに生きるための方法が書かれています。 |
中村桂子 著 | |
筑摩書房 | |
今の社会は、科学でより便利になることがよいという考え方で進んできました。しかし「人間は生きものであり、従って自然の一部である」という考え方が、これからの生き方や社会を考える上で大事になると思うようになります。DNAの発見からその後のDNA研究を紹介し、生きものの進化の過程から、今後の社会について考える様々なヒントを提案しています。 |
11月
こにしけい 著 たきざわしょうたろう 著 しまもりなつこ 著 | |
講談社 | |
島で成り立っている日本。人が住んでいる島の他にも、多数の無人島で形成しています。中には大昔からの伝説がある島、いつの頃からか地図上から消滅してしまった島、火山噴火や人工的に地続きになってしまった島など、表情豊かな島々のつぶやきが聞こえてくるようです。50の島々の起源や実情が、気軽に理解できる本です。 |
渋谷敦志 写真・文 | |
ポプラ社 | |
世界には、学校に通って学ぶことが、当たり前でない国が多くあります。紛争や貧困などで、子どもたちは労働したり人身売買されます。報道写真家の著者がたくさんの写真とともに、ひたむきに学び、生きる姿とその社会背景を伝えています。世界の子どもたちのまなざしを見ると、私たちに学ぶことの幸せと、楽しさを改めて感じさせてくれます。 |
池上嘉彦 著 | |
筑摩書房 | |
この本では、なぜ辞書は“ひく”というのか、“かえ歌”と“パロディ”、“なまえ”と“あだな”の違いなど、言葉に関する興味深い話題を取り上げています。また、ことばには伝えるだけではなく、創り出す働きがあることも書かれています。いつも何気なく使っている“ことば”について多くの発見が出来るとともに、その多様性に驚かされる本です。 |
林けんじろう 著 | |
講談社 | |
広島県の尾道市に住む、中学生のイルキは幼少時より、年上のいとこのせいちゃんを慕っていました。せいちゃんは、映画監督になる夢があり、学生時に映画を作っていました。しかし難病に罹り、完成作品を観ることは叶っていません。せいちゃんが観たいといった、その作品は、遠く離れた京都で上映されています。イルキは、友達のハジメと映画を探す旅に出かけます。二人の活躍ぶりに、心が動かされる物語です。 |
10月
青野由利 著 | |
筑摩書房 | |
新型コロナウイルスの流行で注目を集めたウイルスですが、ウイルスとは、どのようなものなのでしょう。この本では、新型コロナウイルスはなぜ封じ込めが難しいのか、三密の回避や普段会っていない人との接触を減らすことが、どうして感染拡大の抑制に繋がるのかを、ウィルスの特徴から説明しています。古くは天然痘に始まり、現在も続くウイルスと人間の闘いの歴史にも触れた、ウイルスを知るための入門書です。 |
まはら三桃 著 めばち 装画 | |
アリス館 | |
日当たりの良い丘の上にある日向丘中学校のカウンセラー室には、様々な悩みを抱えた生徒達がやってきます。日向丘中学校シリーズの2作目となる今回の舞台は文化祭。次々と巻き起こる問題に、スクールカウンセラーの谷川綾(たにかわあや)が奮闘します。生徒達と心を通わせながら悩みを解決していく、爽快な物語です。 |
小手鞠るい 著 | |
さ・え・ら書房 | |
アメリカに住んでいる笑美理(えみり)は、翻訳業をしながら、児童福祉支援団体が行っている電話相談サービスの、日本語対応のボランティアをしています。日本で生まれ育った彼女が、なぜアメリカに行ってボランティアをしているのか、その半生を幼少期から追う形で話が展開されます。読み終わった後、タイトルが重く胸に響いてきます。 |
曹文軒 作 中由美子 訳 | |
樹立社 | |
16歳のミンズは、家業が失敗したため、故郷の小さな村から上京して大工の見習いとして働くことになりました。寝小便をしてしまうような幼さを抱えるミンズですが、機転をきかせて仕事をし、出会う人にも優しく接します。貧しさゆえに、都会で厳しい現実を突きつけられて憂鬱になりながらも、大工の親方や兄弟子と時にぶつかり、時に支えられて苦難を乗り越えていくミンズの姿が魅力を放つ長編物語です。 |
9月
樫崎茜 著 山口法子 画 | |
理論社 | |
星の町中学校2年のワタルの家は神社です。ある日、町に伝わる聖獣“オオカミ”さまが現れました。ワタルにはただの犬にしか見えませんが、町中の大人達が聖獣に祀り上げ、聖獣が現れた時に行う儀式のため、学校で飼育している鹿を生贄にしようとします。町を挙げ大騒ぎする大人達に幻滅し、生贄にされる動物に学校でいじめられている自分を重ねるワタル。自分の気持ちに折合いをつけ、成長していく姿が描かれています。 |
歌代朔 著 | |
あかね書房 | |
コロナ禍のため、中学最後の体育大会も美術展もなくなり、我慢を強いられている中3の鈴音と千暁(かずあき)。ある日、千暁が描いた絵に鈴音が誤って墨をとばし汚してしまいます。汚れた絵に、様々な事を諦めている日常を重ね合わせる千暁。けれど、スクラッチという技法を使用し、改めて絵を描いているうちに、絵をこの先もずっと続けていきたいという気持ちに気付きます。前を向いて進もうとする姿に励まされます。 |
鳥谷朝代 著 | |
秀和システム | |
あがり克服のためのアドバイスがたくさんつまった本です。著者は実際にあがりや緊張で悩んでいたことがあるので、あがり症の辛さに寄り添いながら、適格な助言をくれます。「なぜあがってしまうのか?」自分を振り返りながら、克服法にチャレンジしてみようという気持ちにさせてくれます。 |
久保田裕 監修 | |
メイツユニバーサルコンテンツ | |
著作権とはどのようなもので、どういった場合に発生するのでしょうか。著作権のある書籍や映像を使用したい場合、法に触れずに使用するにはどうすればよいのでしょうか。この本では、そのような疑問にわかりやすく回答しています。「理解度チェッククイズ」をしながら読み進めることで、著作権の理解について確認することができます。大人にもお勧めの一冊です。 |
8月
山田明 著 結布 絵 | |
学研プラス | |
プロサッカー選手、21歳の春木宙は、U-17で世界を席巻したフォワード。しかし、リーグジャパン1部「六本木シティ」に入団した後、不振でど田舎にある2部「あけぼのFC」に移籍になります。釈然としない宙は、試合中にボードを蹴飛ばし、謹慎処分を科されますが、その間、自分を温かく迎え入れている地元の人達の思いを知ることとなりました。宙は再び立ち直ることができるでしょうか? |
濱野京子 作 | |
講談社 | |
コロナ禍で休校していた学校が再開し、登校した中学2年生の輝は、昇降口で見事な「黒板アート」を見つけました。美術部の輝は、誰のしわざなのか気になります。コロナ以前から、他人との間に距離を取っていた輝でしたが、「黒板アートコンクール」の開催が決まり、クラスメイトと作品作りに取り組む中で、輝に思ってもみなかったある変化が起きていきます。 |
畑中英二 著 にしざかひろみ 画 | |
新泉社 | |
中学1年生のホタカは、お城好きの父親に勧められて、夏休みにお城巡りをします。専門家の説明を聞いたり、発掘体験を通してお城への魅力を感じます。そして、なぜ信長を始めとする武将は城を建てたのか、という疑問を持ちました。ホタカとともに色々なタイプの城の様子を探りながら、城が果たす役割や、その奥深さに圧倒される本です。 |
澁谷智子 著 | |
筑摩書房 | |
社会問題となっているヤングケアラーについて、社会構造の変革の背景や、厚生労働省の実態調査を基にわかりやすく説明しています。元ヤングケアラーの経験談も記されており、当事者がどのような思いを抱き、周囲はどうすればよいのか、どんなサポートがあるのかなどを具体的に理解できます。支援を必要とする子どもたちへの呼びかけとしても、読んでほしい1冊です。 |
7月
佐藤いつ子 著 | |
KADOKAWA | |
中学1年生の早紀は、合唱コンクールの指揮者に選ばれます。音楽が得意な早紀でしたが、内気なところがあり、クラスのみんなをまとめていけるのか不安でした。一方で、早紀が課題曲を歌っているのを聴いた涼万(りょうま)は、その清らかな歌声に惹き付けられます。早紀と、涼万をはじめとするクラスメイトたちの人間模様を描く、青春物語です。 |
斉田季実治 著 | |
PHP研究所 | |
NHKの気象キャスターを務めている著者が、気象予報士となった経緯や現在の仕事について明かし、日々の生活での気象予報の役割を説きます。台風や大雪の予報によって事前に災害対策をすることができるだけでなく、猛暑が予報される日には冷たいものの売れ行きが増えるので商品の在庫を増やすなど、経済にも気象が関わっていることがわかります。普段から接している気象予報が、また違った目で見えてくる本です。 |
石崎洋司 著 | |
講談社 | |
新型コロナウイルスの感染拡大で、日本同様に深刻なマスク不足に陥った台湾。若きデジタル大臣オードリー・タンは、その混乱を見事に治め、世界各国から注目されます。彼女は心臓病を抱えており、また、秀でた知能ゆえに、台湾の教育システムの壁にぶつかったりと、波乱の多い人生を過ごしてきました。様々な場面で改革をし続ける天才のこれまでの軌跡が、私達に未来を切り拓く考え方を示してくれます。 |
千葉俊二 著 | |
岩波書店 | |
明治以降に活躍した6人の著名な作家の多感な10代を、本人の作品や日記、周囲の人による記述などから探ります。6人それぞれが、家族の死や、経済的困窮、自身の入院、婚約者との破談など、人生の苦難に直面しています。それらの出来事が、後に生み出だされる作品にどのように反映されたのか、興味深く読める本です。 |