ティーンズのページ
2019年1月~6月
6月
倉島節尚 著 | |
筑摩書房 | |
世界に存在する言語の数は、およそ4千語とも7千語以上ともいわれています。そのなかのひとつである日本語。ふだん私たちはあたりまえのように使っていますが、どんな特徴をもった言語なのでしょうか。長く国語辞典の編集に携わった著者が、古代の成り立ちから現代まで、日本語の歴史や秘密をときあかします。 |
そば打ち研究部 著 | |
学研プラス | |
亜美の通う高山女子高校では、生徒は部活に入ることが義務に。帰宅部だった亜美は、四人の仲間とともに休眠中の「そば打ち部」を復活させたものの、しばらくは悪戦苦闘の連続でした。そこで昔そば屋だった“源じい”をコーチに迎えて腕を上げ、全国高校生そば打ち選手権に挑んでいきます。「自分たちのそば」を作ろうと力を合わせて困難に立ち向かう少女たちの感動の物語です。 |
淡交社編集局 編 青山邦彦 イラスト | |
淡交社 | |
斜めに切れている形のビルや、妙に曲がりくねった道があるのはどうして?といった疑問にも答える、都市に関するちょっとした知識への手引きです。自然と出来上がったもの、制約をつけて形作ったもの、何気なく暮らす町にも、その形になった理由が思いのほかたくさんあります。そんな町の成立ちを、何故、何のためという切り口と、先生と学生との対話という形式で、順序立てて解説してくれます。 |
5月
アンドリュー・ノリス 作 橋本恵 訳 | |
徳間書店 | |
学校で孤立している男の子フランシスと、自分がなぜ死んだのか分からない幽霊の女の子ジェシカが出会うところから物語が始まります。同じくジェシカの姿が見えるアンディとローランドもすぐに仲間になり、やがて、4人が出会った本当の理由が明らかになります。ジェシカとの友情を育むなかで変わっていく3人。希望と感動の1冊です。 |
長沼睦雄 著 | |
誠文堂新光社 | |
精神科医の著者が、「なぜ生きづらさを感じてしまうのか」や「どうすれば気持ちを変え、行動を変えられるか」などを、具体的に分かりやすくまとめた、10代の読者にエールを送る本です。上を向いて一歩を踏み出すための手がかりが見つけられるのではないでしょうか。巻末には「10代のための困ったときの相談先」も掲載されています。 |
いとうみく 著 丹下京子 絵 | |
童心社 | |
中学2年の風汰が職場体験に選んだのは保育園。子どもと遊ぶだけの楽な仕事と思っていたら、パワー全開の園児たちに振り回され、初日からへとへと。でも、園の仕事や保育士の思い、子どもが背負っている心の荷物など、5日間でたくさんのことを心に刻みます。この本は、雑誌「日本児童文学」2017年1・2月号から11・12月号で連載後、加筆したものです。 |
4月
NHK『ロンリのちから』制作班 著 | |
三笠書房 | |
“ロンリ”というと難しそうな印象を受けますが、この本では高校演劇部を舞台に、論理的に対応するということを分かりやすく教えてくれます。中学、高校、大学そして社会人になっても求められる論理的思考力。異なる意見を持つ人との係わりがさらに多くなってくる皆さんにお薦めしたい一冊です。本書はNHKの番組『ロンリのちから』を書籍化したものです。 |
アレックス・フリス 文 ロージー・ホア 文 ルイ・ストーウェル 文 ケラン・ストーバー イラスト 浜崎絵梨 訳 | |
晶文社 | |
日本の若者たちの間で“政治”はあまり語られることのない話題ですが、知り、考えることはとても大切です。この本は、子どもから大人まで楽しめる政治入門書として、世界14カ国で読まれています。政治制度の移り変わりから様々な社会問題についてまで、テーマごとに豊富なイラストで解説されているので、興味を持ったところから読んでいくことができます。 |
3月
安田夏菜 著 | |
講談社 | |
父を亡くし、母は病弱のため生活保護を受けている佐野樹希。私立進学校で挫折し、公立中学へ転校してきた山之内和真。お互いにむこう岸の人と意識し反発していましたが、ふとしたことで心を通わせるようになり、未来へ向けて一歩踏み出そうとします。生活保護や進学校での挫折というやや重い内容ですが、これから大人になるまでに一度は考えてほしいテーマです。 |
いとうみく 著 | |
ポプラ社 | |
音羽といつものように一緒に帰った亜沙見がそのまま家出をしてしまいました。亜沙見が何かに悩んでいることに気づきながらも、目をそむけていた音羽は、それではいけないと思い、彼女を探し始めます。彼女が家出をしたきっかけ(=トリガー)は出生の秘密を知ってしまったこと。中学生にとっては厳しすぎる現実に二人はどう向き合っていくのでしょうか。 |
キャサリン・アップルゲイト 作 尾高薫 訳 | |
偕成社 | |
ある町に”願いごとの樹”と呼ばれている木があります。願いを書いたものを結ぶ風習があることから名づけられました。ある日イスラム教徒の一家がこの町に移住してきましたが、町の人から受け入れられず、憎悪の対象にすらなります。ある晩、一家の少女はこの樹に“友だちがほしい”と書いた布を結びました。少女の願いは“願いごとの樹”を動かし、町の人をも動かします。読み終えるとあたたかい気持ちになることができます。 |
2月
樫崎茜 著 上路ナオ子 画 | |
理論社 | |
5人の中学2年生が職場体験のため博物館に行き、魚類・古脊椎・鳥類・哺乳類・無生物の担当に別れて作業を行います。全員、特に希望した体験場所ではなかったため、はじめは戸惑いを隠せない5人でしたが、それぞれ作業をしていくうちに博物館の仕事にだんだん興味がわいてくるようになります。スタッフの人達とのやりとりや作業内容が詳細に書かれていて、職場体験の雰囲気がよく伝わってきます。 |
濱野京子 作 | |
理論社 | |
震災で兄を亡くし、中学の時に宮城から埼玉に引っ越してきた梨乃は、友達からの同情を受けたくないので、自分を知る人がいない東京の高校に進学します。その学校で入部した吹奏楽部には、被災したことを隠さず話す福島出身の遼がいました。驚きを隠せない梨乃でしたが、そんな遼とはどこか通じるところがあり徐々に親しくなっていきます。被災した中高生のその後の心の動きが丁寧に描かれた物語です。 |
ファブリツィオ・ガッティ 作 関口英子 訳 | |
岩波書店 | |
独裁政権崩壊後の混乱により祖国アルバニアを捨て、イタリアに生活の糧を求めた一家の物語です。決死の密航の末に一家を待っていたのは、不安定な仕事、劣悪な住宅環境、不法滞在者としての扱いでした。警察の目から逃れて息を潜めて暮らし、法の保護からも外されている一家は、幽霊のように存在しないものとされます。その中でも、一家に寄り添おうとする人たちがいることに希望の芽を感じ取ることができます。 |
1月
小島毬奈 著 | |
筑摩書房 | |
“国境なき医師団”という団体を知っていますか?“国境なき医師団”に助産師として参加した著者が、過酷な難民救助の現場で遭遇した出来事を綴った本です。最近よく話題になるシリア難民の救助の現場やアフリカの女性たちの過酷な環境についても記されており、世界の現状について考えさせられる本です。 |
長尾剛 文 若菜等+Ki 絵 | |
汐文社 | |
“かぐやひめ”でおなじみ、日本古典文学の代表作品といわれる『竹取物語』を、すらすら読めるよう現代文にした作品です。原文も付いており、現代文と比較して読むこともできます。ストーリーの細かなところまで知ることができ、挿絵も美しく、読み進めるのが楽しくなっていきます。古典の授業では少し堅苦しく感じている方にも、古典を楽しんでいる方にも、なじみやすい一冊です。 |
ミリアム・ラウィック 著 フィリップ・ロブジョワ 著 大林薫 訳 中村聡 装幀 | |
東京創元社 | |
美しい景観で知られるシリア最大の都市アレッポ。賑わいあふれるこの街は、2012年7月に始まったシリア政府軍と反体制派による内戦によってその風景を一変させました。この本は、アレッポに住む少女ミリアムが間近で体験した戦いの様子を綴った日記の内容を、ジャーナリストとの対話を通してまとめたものです。平和な日常が突如として壊されてしまうショックが、少女の目線から克明に描かれています。 |