ティーンズのページ

2023年度1号~6号

これまでにおすすめした本

6号

美術の進路相談-絵の仕事をするために、描き続ける方法-
ダミー書影くま緑 イトウハジメ 著
ポプラ社
「絵を描くことを仕事にできたらなあ」そんな思いを抱いている中学生に向けた“美術の仕事”のガイドブックです。画家やイラストレーターから、設計士や保育士、研究者にまで及ぶ広くて複雑な“美術の仕事”の世界を、美術の先生がやさしく丁寧に案内してくれます。進路で悩んでいる人はもちろん、「美術って何の役に立つの?」と思っている人にもぜひ読んでほしい本です。
 
鉱物大事典-宝石からレアメタルまで  美しい形や色のひみつを科学で解き明かす-
kuma2.jpg 松原總 監修
ニュートンプレス
岩塩、ダイヤモンド、銅、ニッケル、まったく違うものに思えますが、実は、すべて“鉱物”という無機物の固体です。この本には、身近な岩石だけなく、暮らしに不可欠なもの、希少価値があるものなど、さまざまな鉱物の、美しい色や形、不思議な性質が、豊富な写真やイラストで紹介されています。
 
ケモノたちがはしる道
ダミー書影くま緑 黒川裕子 作
静山社
千里は、おしゃれとゲームが大好きなイマドキの中学一年生。そんな彼女が、イノシシシ獲り名人のジジさまのもとでケモノ獲りに挑戦!?パック肉しか知らなかった千里が“わな猟”の体験を通して、命と肉、生と死について考え始めます。熊本のたくましい自然と動物、人々の姿が、躍動感のある文章で生き生きと表現された一冊です。

5号

夜空にひらく
夜空をひらく書影 いとうみく 著
アリス館
家庭に恵まれなかった高校生の鳴海円人は、孤独感を抱えて生きてきました。バイト先で罪を犯し、補導委託先の煙火店を営む深見静一の家で暮らすことになります。そこでは花火師たちが、花火の打ち揚がるたった6秒のために多くの時間を費やして花火作りに取り組んでいました。花火師たちの仕事に臨む姿勢や深見家とそれを取り巻く人々の温かさに触れて、次第に素直な自分へと変わっていく、円人の心の内を描いた物語です。
 
最高のともだち
最高のともだち書影 草野たき 著
講談社
 リクと菜摘は、それぞれが秘めてきた心の中をテレパシーのように見抜いて理解してくれたクラスメイトのライト(礼斗)に夢中になります。学校で話をするでもなく、放課後に会ってもそっけないライトですが、二人にとっては特別な存在です。そんな彼に、新しい世界へ行くためのパーティーをしよう、と誘われたリクと菜摘。新しい世界とはいったい何なのか?三人はどうなるのか?と先が気になって読み進めてしまう一冊です。
 
幸田延
幸田延書影 萩谷由喜子 著
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
 文部省派遣音楽留学生第一号であり、日本人として初めてソナタを作曲した幸田延。明治に生まれ、西洋クラシック音楽が導入されて間もない日本においてバイオリンやピアノの演奏で活躍したのみならず、音楽教育にも力を注ぎました。実兄は幸田露伴です。男性優位の社会に翻弄されながらも、歩みを止めることなくしなやかに生きた女性の伝記です。

4号

金曜日のあたしたち
usagi.jpg 濱野京子 作 
 
静山社

第1志望の高校が不合格だった光内陽葵は挫折を味わい、毎日を惰性で過ごしていました。ある5月の金曜日、駅前で“ストップ!温暖化”と、書いた段ボールを持って活動していたのは、自分が行きたかった高校の生徒達でした。陽葵はメンバーの涼真と話したことがきっかけで、彼らの活動に参加し始めます。恋と活動との間で揺れる陽葵ですが、温暖化防止を深く考え、ひたむきに行動していきます。陽葵の姿に、勇気を与えられる物語です。

在来植物の多様性がカギになる-日本らしい自然を守りたい-
neko.jpg 根本正之 著 
 
岩波書店

秋の七草と言われ、昔の日本でよく見かけられた草花がありますが、都心では、このうちの4種類が絶滅危惧種となってしまいました。また、春になるとよく目にするタンポポも、日本固来の種類は都市で見かけることは難しく、外来種や雑種のものが多くなっています。著者は長年の調査から、在来植物が消え、外来種が増えている状況を明らかにしています。在来植物を守ることの大切さを実感し、私たちが何をすべきかを考えさせられます。

3号

増えるものたちの進化生物学
5_fuerumono.jpg 市橋伯一 著
 
筑摩書房

「なぜ人間は悩み多き生物なのか?」という疑問に「進化生物学」の視点から答えた本です。生物は“増えて遺伝するもの”から進化したため、「何としても増えたい」という本能を受け継いでいます。さらに人間は、増える戦略として“少産少死”を選び、いろいろな能力を獲得して寿命の長い生物になりました。この2つの前提のもと、人間が悩み多き生物であることの理由がわかりやすく説明されています。

空とラッパと小倉トースト
5_soratorappa.jpg オザワ部長 著
 
Gakken

桜舞う中、山育ちの天然少女・美森はトランペットの天才少年・響と出会い、その音色を“泣いている”と感じます。誰もが認める才能と実力を持ちながら大きな挫折を経験し停滞する響と、まったくの初心者ながら飛び抜けた音感と地道な努力で才能を開花させていく美森。対照的なふたりを中心に、愛知名晋高校吹奏楽部の仲間たちが、悩みながら成長し、演奏を磨いて全国大会の金賞を目指す青春群像劇です。

雨にシュクラン
5_ameni.jpg こまつあやこ 著
 
講談社

「アラビアにも書道があるの!?」家庭の事情で高校中退を選び、憧れの書道部での活動を断念した真歩。ボランティア先でアラビア書道に出会い、さらにトルコ人の父をもつユルマズ姉弟を通じてトルコ、アラビア語、イスラム教という未知の世界にどんどん魅了されていきます。そんな彼女が選ぶ新たな進路とは。シュクランとはアラビア語で「ありがとう」の意味。表紙の美しい文字もアラビア書道の作品です。

2号

きみの話を聞かせてくれよ
5_kiminohanasio.jpg 村上雅郁 作
カシワイ 絵
フレーベル館

絵を描くのが得意な六花(りっか)は、親友の早緑(さみどり)と些細なことでけんかをして以来、ひとりで過ごしていました。ある時、同じクラスの黒野くんと話をしたことをきっかけに、早緑との関係に変化が訪れます。新船(あらふね)中学校の生徒たちが、言葉では上手く言い表せない、どうしたらよいか分からない気持ちを誰かに聞いてもらうことで、前に進みだす、7つのお話です。

ハーベスト
5_harvest.jpg 花里真希 著
講談社

幼い頃からほとんど家族としかしゃべらなかった朔弥(さくや)は、中学生になって、園芸部に入部することになりました。部員は、朔弥のほかに、同じクラスの西森くんと、2年生のアズサだけです。はじめは、とっつきにくそうな2人だと思いましたが、一緒に菜園作りに取り組むうちに、仲間意識が芽生えていきます。それぞれが悩み成長し、自分の居場所を見つけていく物語です。

118種すべてがわかる!元素図鑑-その特徴と使いみちをやさしく解説-
5_hyakujuhachi.jpg 子供の科学編集部 編
誠文堂新光社

この世界にある様々な物質は、小さな粒である“元素”が組み合わさってできています。元素はどこから来たのか、地球や人体はどんな元素でできているのか、そんな元素の基本から、発見されている118種全ての元素それぞれの性質や特徴まで、楽しく学ぶことができます。読むと、元素が身近なところで意外な活躍をしていることがわかるでしょう。2017年刊行の『ぜんぶわかる118元素図鑑』を改題・加筆修正した本です。

1号

指と耳で見る、目と手で聞く-視覚障害・聴覚障害のある人の暮らす世界-
yubito.jpg 金治直美 著 
 
ぺりかん社

この本は、視覚や聴覚に障害のある3人へのインタビューをもとにまとめられています。視覚障害者に関する初歩的な知識から、その文化の魅力、社会の問題点まで、福祉の専門家ではない著者独自の視点から取り上げている点が特徴的です。20代の暮らしや思いを中心に構成されているため、身近な先輩の話を聞くように、障害のある方の生活がイメージでき、理解が深まる一冊です。

放課後の読書クラブ
houkago.jpg 小手鞠るい 著 
 
偕成社

自分の人生に影響を与えた本を、思い出を交えながら「命の物語」や「恋の物語」などのテーマ別に紹介しています。放課後のひととき、学校のクラブ活動に参加するような気持ちで読み進めることができます。興味のあるテーマ別に紹介されている本を実際に読んでみると、思わぬ形で「運命の一冊」に出会えるかもしれません。気軽に多くの小説に親しむことができる本です。

あした、弁当を作る。
ashita.jpg ひこ・田中 著 
 
講談社

中学生の龍樹は、母親の手作り弁当を持って登校しています。ある日のこと、母親からいつも通り弁当を受け取った時に、挨拶と一緒に軽く触れられたことで、なぜか寒気とプレッシャーを感じてしまい、食欲まで落ちてしまいました。龍樹は考えた末に、自分で弁当作りを始めます。親に対して申し訳ないと思う気持ちと、自立したい気持ちの間で揺れる中学生男子の葛藤がリアルに描かれています。