「自分史講座」を開催しました
作成日:2023年10月16日
令和5年9月23日(土曜日・祝日)、和洋女子大学教授の佐瀬竜一さんをお招きし、「自分史講座」を開催しました。
「自分史」を書きたいけど、どうやっていいかわからない、そんな方に向けて入門編の講座を開きました。
自分史は、自分の経験をふりかえりや整理、記録をして人生を語る作品です。ですが、すべてを書く必要はなく、書けるところから書けばよいという説明から講座がスタートしました。
心理学の専門家でもある佐瀬さんの説明は、心理的な面にも目を向けられました。
自分史を作ることは、過去、現在、未来の自分を関連付けて統合していく=自分を知る という作業で、この作業をとおして、こんなことが期待できるそうです。
・丁寧なキャリアデザインが可能になり、人生をやりやすくする。
・人とのコミュニケーションを深めやすくなる。
・脳(特に前頭前野)を活性化する。
・生きてきた証を残すことができる。そのことは、知恵と思いを伝承することによる人類の発展につながる。
ざっと説明を聞いた後、いよいよ自分史作りの具体に入ります。いきなり文章は書きません。まずは書くための素材集めです。
これから作る自分史が、どのようなものを、どのように作るか、ポイントを押さえて考えたあと、「自分史作成のための年表」へ手順に沿って書き込み、作成していきます。書くときに、書きたくないこと、触れたくないことは書きません。無理に書こうとしないことも大切なことなのだと説明がありました。
最初に年表へ書いたのは、人生の充実度を線グラフにしたものです。佐瀬さんがご自分の人生を紹介しながら実演してくれました。人生の絶頂期は高いところを、困難にぶつかったときは低いところを線が走っていきます。参加した人たちも、それぞれ自分の人生を線グラフにすると、それを隣の席の人に紹介しました。紹介しながら会話する中で、また新たな気づきも生まれます。
年表には「社会の動き」「友人・出会い」など、いくつかの項目が並び、年代順に書き込めるようになっています。そこにも思いつくところから出来事を書いていきました。
年表に書くといっても中々思い出せないこともあります。脳の中にある長期記憶から素材を引き出す方法も教えてもらいました。
今回の講座では、「ヒーローインタビュー」という方法で、自分の成長したことから学び、未来の自分へつなげるということも教わりました。この方法で、自分の成長したところ、良い点にも目を向けることができました。
集まった素材は整理して、構成を作っていきます。整理するときにストーリーを意識して「過去の私」「現在の私」「未来の私」のつながりを考えると、出来事の羅列だけでない、興味深い文章ができてくるそうです。
説明が進んでくると、何となく、自分が作る自分史が見えてきました。
作成の手順はありますが、行ったり来たりしながら内容が変わってることもあります。年表もどんどん修正して構わないそうです。「できるところから、作成しやすい部分から始めればいい」というスタンスを意識してくださいと話されていました。
また、作成にあたっては、個人情報、誹謗中傷、著作権の取り扱いをくれぐれも注意するようにとの説明もありました。
参加者のアンケートでは、「ソフトでユーモアのある話が大変分かり易く、自分史作りのハードルが少し下がった気がします」「自分史といえば、時系列順にエピソードを書いていくものだと思っていたが、それ以外にやり方もあるのだと気づかされました。心理学的な観点からの作る意味なども参考になりました」「どのように取り組むか説明いただきとても分かり易く頭の中が整理された。いい機会を与えて下さりありがとうございました」などのご感想をいただきました。
これまで「自分史」に抱いていたイメージが変わった方も多かったようです。
短い時間の中、実際に自分史を書くところまではしていませんが、きっかけ作りとして多くの示唆のある講座となりました。
●図書館ホームページ「資料を探す」の画面で、タイトルに「自分史」と入れて検索してみてください。自分史に関連する本の一覧が表示されます。「自分史」で検索したときの一覧はこちら
目的と内容が違う本も含め様々な本が一覧に表示されますので、迷ったときは図書館にご相談ください。