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「世田谷区家庭読書の日」にお届けするおはなし 第39回 昨日も今日も明日も・・・『ねずみのでんしゃ』

  • 掲載日2021年5月23日

世田谷区では、「毎月23日は、世田谷区家庭読書の日」として家庭での読書をすすめています。 

 毎月23日に図書館職員が子どもの本のことや図書館での楽しい出来事をお届けしています。

 第39回 「昨日も今日も明日も・・・同じ絵本!!」の息子たち

 2人の息子が保育園の頃、寝る前に読み聞かせをしていました。私も含めて皆1冊ずつ、今日の絵本を選んで布団に入り、毎日3冊読んでいました。 しかし、至福の時間とはいかず、私の眠さとのたたかいでした。いかに早く終わらせるか、早口で読んだり、とばしとばし読んだり、時には寝落ちする日もありました。いいえ、ほとんどそうだったかもしれません・・・。

 そんな中、私の記憶に強烈に印象に残る絵本があります。『ねずみのでんしゃ』(ひさかたチャイルド)です。14ひきシリーズで有名な、いわむらかずおさんの絵で、タイトルのとおりねずみのおはなしです。明日からはじまる、ちゅうがっこう(ねずみの幼稚園)に通うはずのねずみの7つ子たちですが、みんなちゅうがっこうに行きたがりません。そこでお母さんは、あるいいことを思いつく。というおはなしです。絵本の中には大きく見開きのページがあり、そこのシーンになると息子たちはきまって大喜びしていました。

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 毎日、毎日、この本を読んで欲しがる息子に、暗記するほど読みました。大人にとっては同じ絵本ばかりでは無駄のように思えたり、興味の幅を持たせたいと思ってしまいます。しかし、“子どもにとっては、結末を知っているからこそ、安心して主人公と一緒に冒険ができたり、まだ人生の経験が少ない子どもにとっては不安なことがいっぱいな中で「知ってる」ものに触れると心が安定する。親に要求を聞き入れてもらえたという体験が自己肯定感を育む”ということを、何かの本で読んでいたので、私は息子達が「もうこの本、いいや」って満足するまで付き合おうと決めました。

 今は高校生と大学生になった息子たちに、思い出に残る絵本を聞いてみたところ『じごくのそうべえ』(童心社)『ぐりとぐら』(福音館書店)『おまえうまそうだな』(ポプラ社)『モチモチの木』(岩崎書店)『けんかのきもち』(ポプラ社)『へんしんトンネル』(金の星社)があがりました。『ねずみのでんしゃ』は出てきませんでしたが、こんなに、いろいろな絵本がすらすらと出てきたのは驚きました。この思い出の絵本たちは、今でも私の心の中と、我が家に残っています。しかし・・・あんなに読み聞かせを頑張ったのに息子たちは、現在全くと言っていいほど読書をしないという現実。それでも、記憶の中に楽しかった思い出が残ってくれているならいいかな!と思っています。

 現在、図書館でのおはなし会はお休みしていますが、いつか笑顔で再開できる日のために貯金ならぬ“貯本”をしています。たくさんのいい本に出合っておはなし会で共有できるようにがんばります!

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