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「世田谷区家庭読書の日」にお届けするおはなし 第18回 「ちょっとだけ」

  • 掲載日2019年8月23日

世田谷区では、「毎月23日は、世田谷区家庭読書の日」として家庭での読書をすすめています。 

 毎月23日に図書館職員が子どもの本のことや図書館での楽しい出来事をお届けしています。

 第18回 子育て中のオアシス「ちょっとだけ」

 今までにたくさんの本を我が子に読み聞かせてきましたが、唯一、子どものためだけでなく、子育てしている自分のために何度も読み返した絵本があります。それが、『ちょっとだけ』瀧村有子さく/鈴木永子え(福音館書店)です。

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 私には、男女の双子と4才年上の娘がいます。出産した当時は、急に3人の子育てが始まり目の回るような忙しさでした。双子の世話をしている時は、当然上の子には目が行き届かず寂しい思いをたくさんさせてしまいました。ちょうどそんな時に、お友達ママから出産祝いでこの本をいただきました。

 あらすじは、お母さんが赤ちゃんの世話で忙しくなってしまい、主人公のなっちゃんは今までお母さんにお願いしていたことをちょっとだけ一人でやってみようとしますが、なかなかうまくいきません。頑張ってはいるけれど、やっぱり最後はちょっとだけ大好きなお母さんに甘えたくなって・・・。という内容です。

 初めて読んだ時は、上の子に寂しい思いをさせてしまっている思い、忙しくて家のことが回らないもどかしさ、はたまた自分の小さい頃を思い出し、いろいろなことが思い起こされ、涙が止まらなかったことを覚えています。

 子育てをしていて、赤ちゃん返りや、兄弟喧嘩など、ちょっと疲れた時に読むとほんわか温かい気持ちになり、上の子に対してもおおらかな気持ちで接することができました。双子が寝静まった後は、娘と二人っきりでこの本を読んでいたことを、現在中学3年になった娘もよく覚えていました。

 小さい頃は特に、なんでも一人でやりたがりますが、もしかしたら、心のどこかでお母さんを少しでも助けてあげたいと思っているかもしれませんね。ぜひお子様だけではなく、頑張っているお母さんにも読んで欲しい一冊です。

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