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「世田谷区家庭読書の日」にお届けするおはなし 第55回 古今東西変わらない…?はずかしかった思い出
- 掲載日2022年9月26日
世田谷区では、「毎月23日は、世田谷区家庭読書の日」として家庭での読書をすすめています。
毎月23日に図書館職員が子どもの本のことや図書館での楽しい出来事をお届けしています。
第55回 古今東西変わらない…?はずかしかった思い出
「指が痛いよう」
仕事中に子どもから入っていたメール。またおケガかな。
帰宅すると、人差し指を立てて子どもが寄ってきました。
どれどれ…
見ると、人差し指の付け根にぐるりと傷ができています。皮もむけています。
これは痛そう…「こんな傷、どうしたの?」と問いかけながら、ピンときた!
『はずかしかったものがたり』 椋鳩十 編/赤羽末吉 絵(童心社)※所蔵なし
この本は昭和を代表する作家達が自らの過去の「はずかしかった」出来事をつづったアンソロジーです。この中で、子どもだった私の記憶にくっきりと残ったのが、長崎源之助の「かなしいゆびわ」のお話でした。
小学1年生の長崎源之助が、ある日、教室の机の引き出しに開いている穴に指を突っ込んでいじっているうちに抜けなくなり、恥ずかしい思いをした、という告白のお話です。抜くためにそれはそれは痛い思いをしたのですが、それ以上につらかったのは、級友や先生方に笑われたことで、恥ずかしさと情けなさで、心も痛かったのでしょう。
ここに集められたお話は戦中戦後の思い出話で時代を感じますが、現代でもおそらく誰もが「ちょっと穴に指を入れてみたら、抜けなくなって焦った」という記憶があるのではないでしょうか?いつの時代も、子どもの失敗や、恥ずかしいという気持ちは変わらないものかもしれません。いや、大人だって。
かくして、うちの子の「赤い傷跡の指輪」も全く同じようにできました。
教室の椅子に空いていた穴になんとなく指を入れてみたら、抜けなくなり、ひっぱったり、ひねったり、あれこれ試してみてもダメで、どうにかこうにか先生にバレずに抜けた時には、かわいそうに赤い指輪ができてしまったそう。
幸い傷は深くなかったので、気休めにガーゼを巻いてあげて、寝る前に「かなしいゆびわ」を一緒に読みました。きっとみなさんにも「わかるなぁ」と感じるお話が入っていると思います。そして、そんな恥ずかしい出来事も、大人になったら笑い話になるということも子どもたちに伝わってほしいです。
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