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「世田谷区家庭読書の日」にお届けするおはなし 第27回  『おこだでませんように』・・・どんなにやんちゃな子でも・・・

  • 掲載日2020年5月23日

世田谷区では、「毎月23日は、世田谷区家庭読書の日」として家庭での読書をすすめています。 

 毎月23日に図書館職員が子どもの本のことや図書館での楽しい出来事をお届けしています。

 第27回 『おこだでませんように』・・・どんなにやんちゃな子でも・・・

 我が家には中学3年生になる息子がいます。今でこそガミガミ怒ることは少なくなりましたが(?)、まだ小さくやんちゃだった頃は、何かにつけて息子を怒っていたような記憶があります。今思えば、育児に追われる中、私自身に余裕が無かったのかもしれません。

 そんな時、息子と読んだ一冊の絵本がきっかけで「あれっ?もしかして自分の都合だけで怒っている?」「もっと息子の気持ちも考えてあげなければ!」と、大いに反省した経験があります。その絵本とは、『おこだでませんように』くすのきしげのり作/石井聖岳絵(小学館)です。

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 主人公の小学1年生の男の子は悪気が無いのに、何故かいつもお母さんや学校の先生に怒られてしまいます。妹と遊んであげても「こんなぐちゃぐちゃなおりがみなんかいやや。」と言われ「うるさい!」と返すと泣いてしまう妹。そこに帰ってきたお母さんは当然のように男の子を怒ります。でも、男の子からしてみれば「遊んであげたのに・・・」「妹がわがままを言うからや・・・」という、心の声があるのです。そんな気持ちに大人は気づくことなく、次第に男の子は「ぼくは、悪い子なんやろか」と自信を失ってしまいます。
 そして、七夕の日。学校で短冊に願い事を書くことになりました。男の子の書いた願いは・・・「おこだでませんように」でした。 

 男の子の不器用さが息子と重なって見えたと同時に、大人から見ればやんちゃな子であっても、その心の中はとてもまっすぐで、どの子も誰かを困らせようとしているわけではないということを教えてくれた一冊です。本を読み終わった後は、男の子のお母さんや先生がしたように息子をぎゅーっと抱きしめずにはいられませんでした。

 忙しい日々の中で、我が子の愛おしさをつい忘れてしまいそうになる瞬間もあるかもしれません。そんな時に是非この本を読んで子どもの純粋さに触れ、お子さんを抱きしめてあげてはいかがでしょうか。

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