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「 第15回世田谷区子ども読書活動推進フォーラム『いまこそ、昔ばなしを!』」の報告誌を作成しました。
第15回世田谷区子ども読書活動推進フォーラム
「いまこそ、昔ばなしを!」
令和3年1月30日(土曜日)午後1時30分から、教育センター3階「ぎんが」にて、子ども読書活動推進フォーラムを開催しました。今回は「いまこそ、昔ばなしを!」をテーマに、講師として小澤俊夫氏(小澤昔話研究所所長)をお招きし、この時代だからこそ考えたい、昔ばなしの力と子どもの成長の関係について講演していただきました。
第1部 講演会
小澤先生から「昔ばなしはどこにあると思いますか?」という問いかけがあり、「昔ばなしは語られている時間の間にだけ存在」し、終わったら消えてしまう1回きりのものであるというお話から始まりました。
続いて「うまかたやまんば」を語ってくださり、全員グッとその語りに惹きつけられました。語りのあとに「昔ばなしの場面は1対1で構成されていて、シンプルでクリアー。一次元性であり人間と動物などの会話が成立している。昔ばなしは写実的に語ろうとせず抽象的である。図形的に語り、立体的には語らない。」という昔ばなしの定義を白雪姫を例に解説してくださいました。
「新型コロナウィルスの感染が収まらない中、大人でも相当なストレスにさらされていて、社会の末っ子である子どもたちは、先の見えない不安な時をすごしているんじゃないか。そんな子どもたちの心が折れないよう、生きる喜びを伝えていくのが大人の役目。」それには、昔ばなしがとても役に立つそうです。
昔ばなしは「耳で聞くお話」。声で聞くということは、語り手が近くにいるといういことで安心感が生まれます。生の声を届けるということの重要性を訴えかけておられました。
昔ばなしの中でも、小澤先生は『三年ねたろう』がお気に入りなのだそうです。「三年間寝てばかりだったけど、ある日急に起き上がり、知恵を使って長者になる。」というお話。「ねたろうは三年眠っていたから、いい知恵が生まれたと思う。今の子どもたちは、親の期待に添おうと頑張り過ぎているので、のんびり考える時間も必要なのではないか。」と、現在の子どもたちが置かれている状況をとても心配していらっしゃいました。小澤先生は4人兄弟で、4人とも子どものころはのんびりしていたそうですが、大人になったらしっかりと考えることができるように!そのくらい、余裕を持たせてあげるのが大切なのではないかということでした。小澤先生の子どもたちへの愛情溢れる素敵なお話に引き込まれ、あっという間に講演会が終了しました。
第2部 質疑応答
質問の受付は、第1部の講演を聞いて、疑問に思ったことや気になったことを質問票に参加者が記入する方法で実施しました。幼い乳幼児には昔ばなしを語るより、わらべうたを歌ってあげると喜ぶといったお話をしてくださるなど、たくさんの質問に丁寧にお答えいただいたため、引き続き講演をしてくださっているような嬉しい時間でした。
参加された方々からは、「一万冊の育児本を読むよりも勉強になりました」、「昔ばなしの大切さを再認識しました」、などの感想をいただきました。
例年よりも短い時間での開催となりましたが、小澤先生のお力とご参加いただいた方々のご協力により、とても内容の濃いフォーラムになりました。ありがとうございました。
詳しくは、以下の添付ファイルをご覧ください。報告誌は世田谷区内の図書館にも所蔵しています。