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令和4年度 「絵本はどこから生まれてくるの?」いとうひろし先生講演会
令和4年度 世田谷区子ども読書の日記念講演会「絵本はどこから生まれてくるの?」
令和4年4月23日(土曜日)午後2時から、中央図書館3階「ぎんが」にて、「子ども読書の日」記念講演会を開催いたしました。講師に、絵本作家のいとうひろし先生をお招きいたしました。
いとう先生は大学在学中より絵本の創作をスタートされ、主な作品に「ルラルさん」シリーズ、「おさるのまいにち」シリーズ、『だいじょうぶだいじょうぶ』などがあります。日本絵本賞読者賞、絵本にっぽん賞など数多くの賞を受賞され、沢山の人に読み続けられる作品を世に送り出していらっしゃいます。
講演会ではストーリーの着想や創造の膨らませ方など絵本作りの過程を丁寧にお話ししていただきました。また、子どもたちに質問を投げかけたり、前に出て袋の中身を当ててもらったりと、いとう先生と子どもたちの交流も多く、大変充実した講演会となりました。
『ルラルさんのだいくしごと』の実際の原稿や下書きをお見せいただきました。絵本の製作には大勢の人が関わっており、一番いいものを届けたいという思いが詰まっているということをお話ししていただきました。
活字やインクを選択する校正過程では、子どもたちにどのような違いがあるか実際に見つけてもらいました。目を凝らして熱心に違いを探す子どもたちに先生もうれしそうな表情を浮かべていました。
後半は、発想の広げ方やものの見方についてお話ししていただきました。子どもたちに袋の中に手を入れてもらって、中身を予想してもらいました。視覚に頼らず中身を当てることは難しい様子でした。目で見るだけと触ったときは全然違うということあたりまえだと思っているものをあたりまえだと思わないことが大事だというお話に参加者の多くが頷く様子も見られました。
会場からも、子どもたちから質問の手が多くあがりました。
「ルラルさんの名前はどうしてつけたの?」という質問をしたお子さんに、「恵まれない人たちにお金を配りながら神への愛について説いてまわったルラルノビッチなんとかっていう中世の修道士がかっこいいなと思って付けました。」とお答えいただきました。いとう先生の回答に会場が感動していると、「今話したことは全部嘘。本当は、階段を上っている間にふっと思いついた。普通に答えたらおもしろくないから嘘を言いました。」と冗談を交えながらお答えいただきました。他にも「どうして絵本作家になったのですか」「いとう先生の作品で好きな本は何ですか」など一人ひとりの質問に、ユーモアたっぷりにお答えいただき、あっという間の講演会でした。
来場者アンケートからは、「絵本がつくられる過程がとても分かりやすく、楽しい時間でした。子どもが絵本を作るのが好きなので子どもと一緒にきけてよかったです。」等講演を聞いて、子どもと本の結びつきがより強くなったといったお声や、「いとう先生のお人柄がにじみ出た楽しい講演会でした。」という感想をいただきました。