こどもページ

2017年7月~12月

これまでにおすすめした本

7月

河童のユウタの冒険(上) (下)
  斎藤惇夫 作
金井田英津子 画
福音館書店

河童のユウタは、九つの尾を持つ狐の孫娘アカネと天狗のハヤテと共に龍川の河口から水源まで、目的を知らされないまま旅をすることになります。途中で何度も危険な目に遭いますが、お互いを思いやる心が芽生え、助け合う力を得ることで、次第に旅の目的もわかってきました。上・下本で長い話ですが、この世はヒトのためにのみあるのではなく、そこに生きている動植物すべてのものであることを改めて考えさせてくれる物語です。

パラサウロロフス-なぞのトサカをもつ恐竜-(新版なぞとき恐竜大行進12)
  たかしよいち 文
中山けーしょー 絵
理論社

遠い大昔、恐竜達が生きていた頃の様子が物語を通してわかるシリーズです。この本には、パラサウロロフスの親子の子育てや他の恐竜との戦いの様子が書かれています。恐竜なんでも博士の「たかしよいち」先生が新発見のデータをもとに解説をしてくれます。本の表紙と裏表紙の絵が間違い探しになっているのでチャレンジしてみてください。

太陽と月の大地(世界傑作童話シリーズ)
  コンチャ・ロペス=ナルバエス 著
宇野和美 訳
松本里美 画
福音館書店

16世紀のスペインを舞台としたキリスト教徒とイスラム教徒の若者の悲恋の物語です。民族や宗教の対立によって戦争が起こり、それまでの信頼や友情が引き裂かれていった時代背景は、現代にも通じるものがあります。「20世紀スペインの100冊」に選出されたロングセラーで、今回初めて日本語に訳されました。

8月

メキシコへ わたしをさがして
  パム・ムニョス・ライアン 作
神戸万知 訳
偕成社

小学5年生のナオミは幼い頃に弟とふたり、母の身勝手からひいおばあちゃんに預けられ育てられました。ふたりは、トレーラーハウスでひいおばあちゃんと隣人たちの温かいまなざしの中で過ごしていました。そんな平穏な日々が、7年ぶりに現れた奔放な母親によって壊れそうになってしまいます。そこでひいおばあちゃんたちとの生活を守るため、メキシコに住む父親を探す旅が始まります。おとなしく内気だったナオミが、勇気をもち変化していくストーリから元気がもらえます。

子どものための美術史-世界の偉大な絵画と彫刻-
  アレグザンダー 文
ハミルトン 絵
千足伸行 監訳
野沢佳織 訳
西村書店

西洋を中心とした芸術家35名について、人物紹介や代表作品、製作背景について、わかりやすい言葉で解説されています。また、色や遠近法の話もあり、美術鑑賞の基礎知識も学べます。芸術家ごとの作風の特徴を知れば、美術観賞での見どころ、ポイントがわかっておもしろいですね。

ようこそ!花のレストラン-植物たちの声を聞くたえこ先生のわ!観察記-
  多田多恵子 写真・文
少年写真新聞社

花のレストランを訪れるお客さんは虫です。ごちそうは花粉とみつです。簡単にみつが吸えるつくりの気軽なファミリーレストランから、ストローをもった蝶々しか飲めないの細長いグラスでジュースを出すレストランなど、いくつものタイプのお店があります。レストランへの支払いは花粉を運んで受粉を助けることですが、おしべやめしべが虫の体に届かずに、みつをタダ飲みされてしまうことも。一方、花も虫をだまして花粉を運ばせたり、罠をしかけるこわいレストランもあります。花と虫の関わりの多様さを紹介する写真絵本です。

9月

化けて貸します!レンタルショップ八文字屋
  泉田もと作
岩崎書店

江戸時代、損料屋といって、今でいうレンタルショップのような商売がはやっていました。そんな損料屋「八文字屋」に11才の文吾は奉公に上がることになります。しかし、ある晩、店の人達がタヌキだと知ってしまいます。

驚きつつも、最初から家族の一員として迎えてくれた店の主人の言葉を思い出し、自分ももっと店の役にたちたいと決心します。しかし、人の子である自分がどうしたらタヌキたちの一員として認めてもらえるのかと焦る気持ちばかりが先にたち、失敗もしてしまいます。文吾がタヌキたちと店の危機を乗り越えながら一人前に成長していくお話です。

なみきビブリオバトル・ストーリー-本と4人の深呼吸-
  赤羽じゅんこ ほか作
黒須高嶺絵
さ・え・ら書房

並木図書館第1回ビブリオバトルに参加した4人をそれぞれ違う作者が描きます。チャンプ本をねらう修。アキは子犬誕生に隠された事実を伝えようと決心する。妥協しない主人公に惹かれる玲奈。ケンカした友だちに自分の気持ちをわかってほしいと願う陸。日々の葛藤や思いを乗せてビブリオバトルが始まります。発表に使おうとギリギリまで悩んだ本や参考にした本などもたくさん出てきます。

アイちゃんのいる教室-6年1組にじ色クラス-
  高倉正樹ぶん・しゃしん
偕成社

ダウン症のアイちゃんと彼女の小学校生活を追ったドキュメンタリー3作目です。6年生になったアイちゃんは、みんなと同じように「がんばる」ことが難しくなり、周囲との関係に変化が出てきます。そんなある日、学芸会の合言葉「みんな輝け!にじ色に」を決めたことをきっかけに、クラス全員で「いじめ」や「個性」について考えることになります。後半にクラス全員のすばらしいメッセージが載っています。

10月

ホテルやまのなか小学校
  小松原宏子作
亀岡亜季子絵
PHP研究所

開校100年の「やまのなか小学校」は、最後の6年生3人の卒業式の日、廃校になりました。おや?この3人はどうやらタヌキとキツネとウサギのようです。3ヵ月後、元小学校を見にきた3人は「ここをホテルにしよう」と、改装してオープンさせます。初日から音楽家と宇宙観測家の2名のお客がやってきますが、会話も少なく気まずい雰囲気が流れています。でも3人の心づくしの「おもてなし」で少しずつ打ち解けてきたある月夜の晩、宇宙観測家の意外な過去が明らかになり、関係が急展開します。山奥の廃校を舞台にした、心優しくなれる1冊です。

こんとんじいちゃんの裏庭
  村上しいこ作
小学館

三津矢さんから教わった大切なことは、冷静になること。大人になるまでに、そして大人になってからも、人生にはいろいろなことがあって、みんな懸命に生きている。中学3年生の尾崎悠斗が、認知症を患う祖父の飛び出しによって引き起こしたとされる交通事故を調べるなかで、様々な人と出会い、変わっていく姿を描いた物語です。

11月

わたしの苦手なあの子
  朝比奈蓉子 作
酒井以 絵
ポプラ社

ミヒロのクラスに転校してきたリサは、クラスにとけこもうとせず、いつも一人。クラスの女子からは「カンジわるー」と言われています。そんなリサに声をかけたことがきっかけで、ミヒロはリサから頼まれ事を引き受けました。しかし、約束を果たしても、リサは「カンジ悪い」まま。ミヒロはそんなリサが気になり、「苦手なものを克服する事」という夏休みの宿題に「本間リサさん」と書きます。章ごとにミヒロ、リサと語り手が変わり、二人の気持ちが近づいていく様子がわかります。

涙倉の夢
  柏葉幸子 作
青山浩行 絵
講談社

倉に入ったことはありますか?扉を開けると、薄暗くほこりくさくてしーんとした倉の中には、たくさんのもの達と共に思い出が眠っています。 母がどうしても買いたがっていたのは、売りに出された実家の倉、「涙倉(なみだぐら)」。母からその鍵をあずけられた亜実は、蔵の扉を開けてみました。すると、そこには思いがけない世界が待っていました。 里の者(人間)と山の者(動物)が、いまよりも仲良く助けあって暮らしていた世界の、不思議で温かい物語です。

Mr.トルネード-航空事故を激減させた気象学者藤田哲也-
  佐々木健一 著
小学館

飛行機は最も安全な乗り物の1つと言われていますが、ほんの30年前までは1年半に1回は原因不明の墜落事故で100人以上の犠牲者を出していた、ということをご存知でしょうか。その原因を特定して事故を激減させた日本人「藤田哲也」とはどのような人物だったのか、その足跡を辿り、原因究明のための苦悩や様々な人の協力を得て真相に近づいていく様が描かれています。本書は、未知の物事に挑んでいく勇気の大切さを教えてくれます。 最後の若者たちへ向けた「恥ずかしがらず、言いたいことを言いなさい」というメッセージは本書を読んだ子どもたちの心に強く印象に残ることでしょう。

算数を使ってワクワク!宇宙探検(算数パワーでやってみよう!1)
  アン・ルーニー 著
みちしたのぶひろ 訳
オーム社

教科としての算数というと苦手意識があって身構えてしまう子もいることかと思います。この本では、火星探検をテーマにスリルいっぱいの様々なミッションを算数を使って解決しながら、純粋に算数そのものを楽しんで理解できるようになっています。授業だけでなく生活の中のいろいろな場面で使える算数の考え方のコツを身につけるのに役立ちます。

12月

唐木田さんち物語
  いとうみく 作
平澤朋子 画
毎日新聞出版

小5の志朗は五男三女の八人兄弟。お父さん・お母さんを入れると唐木田家は十人家族の大家族。四男の志朗は上と下にはさまれて苦労も多く、周りからはめずらしがられ、大家族は好きではありませんでした。ある日、長女の結婚話が持ち上がりますが、ちょっと訳ありのようです。でも兄弟は団結して姉の結婚を応援します。家族をめぐるいろいろな経験から志朗の大家族への気持ちは少しずつ変わっていきます。

幽霊ランナー
  岡田潤 作
金の星社

マラソン大会を3年連続棄権している優は、普段から影も薄く、みんなから幽霊ランナーと呼ばれています。その優の前に謎の先輩があらわれ本格的な指導をうけます。コツコツ毎日走るとフォームが変わり、持久力がついていくのを実感します。まわりのみんなもその変化に驚くなか、いよいよ小学生最後の大会にのぞみます。はたして、優の成績は?謎の先輩の正体とは?たよりない少年が自分の弱さに打ち勝ち、成長していく物語です。

うっかりの玉
  大久保雨咲 作
陣崎草子 絵
講談社

うんと年をとった、おじいちゃん・おばあちゃんは、たくさんの思い出を抱え、どんな世界に生きているのでしょうか。表題作の「うっかりの玉」では、お年寄りにうっかり忘れられた物ごとは、色とりどりの丸い「うっかり玉」となって家中にちらばっているのです。それを幻の童女が拾ってお手玉にして遊んでいるのです。おだやかでおちゃめで幸せなファンタジーの世界に生きる、お年寄りが主人公の童話を集めた短編集です。