こどもページ
2017年1月~6月
1月
近藤尚子 作 江頭路子 絵 |
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フレーベル館 | |
小学校5年生のタケシのおばあちゃん「あかりさん」は病気で脚が悪いけれど、優しいおばあちゃんでした。しかしあかりさんは冷蔵庫に靴を入れたり、タケシのお弁当をつまみ食いしたりと、変わった行動を取るようになってしまいます。そんなことが続いたある日、「あかりさん」は認知症なのだと母から打ち明けられたことをきっかけに、タケシも家族も変わっていくことになります。 認知症は、記憶力や判断力が弱まったり、時間や場所がわからなくなったり、人間関係がわからなくなったりする脳の病気です。認知症の人が安心できるように、家族が介護でつかれてしまわないように、思いやりや助け合いの関係がいかに大切か、タケシとその家族を通じて感じることが出来ます。 |
山本悦子 作 丸山ゆき 絵 |
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童心社 | |
小学校5年生の加奈は授業中「お腹が痛い」と言い、同級生のバネッサと保健室へ行きますが、保健の先生がどこにもいません。先生を探しますが、気がつくと職員室にも元の教室にも、いつの間にか誰もいなくなっていました。まるで神隠しにあって『もうひとつの学校』に迷い込んでしまったようです。 けれど校内を歩き回るうちに、3人の生徒たちと出会います。性別も学年も違う5人に共通していたのは、「どこかへ行ってしまいたい」という日々の思いでした。果たして5人は元の学校へ、家族の元へ、戻れるのでしょうか。 ミステリアスな展開とヒューマニズムが織り成す物語です。小学校高学年から大人まで楽しめる一作です。 |
ひこ・田中 著 | |
講談社 | |
小学校卒業間近に引っ越すことになったテツオは、親友と同じ中学校に進学できませんでした。そんな同じ学校に親友のいないという不安な気持ちで始まった中学校生活も、あっという間に夏休みが終わり二学期になります。 広報委員になったテツオは、「観察して、取材する」という信条で中学校生活を過ごしており、部活や勉強に力を入れ始めた級友たちをまぶしい思いで観察していました。けれどその後文化祭シーズンに入り、広報委員会も出店することになると、「観察」どころか大忙しの日々が始まります。また同級生の杏里も、夏休みの後どことなく大人っぽくなってきて、気になる異性となってきていました。 中学校生活の中で、成長し変化していく少年の姿を描くシリーズの三作目です。 |
2月
富安陽子 著 大庭賢哉 絵 |
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偕成社 | |
ある日、モエは幼稚園で男の子に、抜け穴を通って園長先生の庭の池を見にいこうと誘われます。その秘密を人に話したらカエルの口になると言われましたが、二人は一緒に庭の池を見にいくようになります。服が泥だらけなことをおかしいと思ったママに問いただされ、モエは秘密をしゃべってしまいます。モエの口はカエルにはなりませんでしたが、なんと、モエがキスをした相手がカエルになってしまったのです。 実は庭の池が「のろい」の世界につながっていたのでした。 |
鳴海風 著者 伊野孝行 画 |
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くもん出版 | |
今でこそ、関孝和の名前はある程度知られていますが、それでも、世界の先進のヨーロッパの数学にも先んじていたことはあまり知られていません。それは、関家が断絶していて、孝和の残した資料がすべてなくなってしまい、彼がどのような生い立ちであったかさえ不明なことが原因のようです。 孝和の業績を元に想像を駆使して、彼の独自な観点からの数学への取り組みを、兄弟をはじめ周囲の人たちとの交流などを通して、楽しい物語としてつづっています。 数学に対する理解が深まり、興味がそそられる一冊です。 |
日下博幸 著 | |
くもん出版 | |
毎日、テレビやラジオから流れてくる、天気予報。スーパーコンピューターと、空の状態を日本で16ヶ所、世界で合計800ヶ所、8時30分と20時30分にゾンデ観測という方法で測定し、地球規模の風の観測によって予測しているのです。 スーパーコンピューターは、地球の大気を、約一億三千万個の箱(地域)に分けて6分40秒毎に予測しています。 膨大な数字と、たくさんのデータで圧倒される内容ですが、写真や図もたくさんあり、理解しやすく書かれています。 |
クルト・ヘルト 作 酒寄進一 訳 西村ツチカ 画 |
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福音館書店 | |
舞台は1940年、クロアチアの港町セニュ。その町に住む少年ブランコは、母親が亡くなり、孤独の身になってしまいます。泥棒と間違われ投獄され、未来に絶望するブランコでしたが、謎の少女ゾラが助けてくれ抜け出すことに成功します。 ゾラに着いて行った先は秘密基地。ゾラは仲間の孤児3人とそこで生活をしていました。行く当てのないブランコはゾラに仲間に誘われます。 恵まれない時代に、子どもたちだけで知恵を出し合い、懸命に生きていく子どもたちの姿が心を打つ物語です。 2009年刊行のものを、福音館文庫で文庫化したものです。 |
3月
あさだりん 作 新井陽次郎 絵 |
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偕成社 | |
あるきっかけで剣道を習い始めることになった6年生の成美。しかし、たった一日の練習だけで立てないほどの筋肉痛に。おまけに「下駄を履こう」「浴衣を着よう」「正座でご飯を食べよう」と剣道に関係のないことばかり監督から要求されやめようと思いますが、それでも何とか続けていくうちに、成美の心境に変化が出始めます。 |
田中惣次 著 | |
少年写真新聞社 | |
檜原村で林業家として働く著者が、その仕事について、また林業の現状や役割について書いた本です。 日本は国土の三分の二が森林で覆われている、世界有数の森林国です。しかし、現在の森林は林業家の減少などにより、手入れが行き届かずに鳥獣の被害を受けたり、地盤がゆるくなってしまったりと深刻な状況です。そんな中、森林を守ろうという動きが全国各地に広がっています。 森林の大切さや地球環境、それを支えている林業のことがわかる一冊です。 |
笹井恵里子 著 | |
金の星社 | |
クロスカントリースキーのパラリンピック金メダリストの新田佳浩選手は、不可能だと思えることも様々な工夫で可能にしていくことで夢をかなえました。新田選手は、3歳の時に祖父の運転する稲刈り機に腕を巻き込まれ左手を失いますが、片手ではじめたクロスカントリースキーで中学生の全国大会に出場できるほどになります。16歳の時に「責任を感じる祖父のためにパラリンピックで金メダルをとる」という目標をたて、14年後、本当に金メダルをとります。 新田選手が大切にしている「10の言葉」とともに、挑戦し続けるその半生を伝えてくれます。 |
フーリア・アルバレス 著 神戸万知 訳 |
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ゴブリン書房 | |
12歳のアニータは、美しいカリブ海に囲まれたドミニカ共和国で両親や祖父母、大勢のいとこたちと一緒に暮らしていました。しかし1960年11月のある日、いとこのカルラとその家族が突然アメリカに行ってしまいます。そしてその翌日、拳銃を持った「秘密警察」がアニータの家にやって来て、家中を荒らされます。怯えるアニータに、姉のルシンダは、「カルラたちのことは口実で、本当はアニータたちの父親のことを探っているのだ」と説明します。実はアニータの父は、ドミニカの「ボス」…大統領を倒す計画を立てていたのでした。アニータとその家族は、ドミニカの平和と自由を巡る闘いに巻き込まれていきます。 |
4月
ミヒャエル・エンデ 作 池内紀 訳 佐々木田鶴子 訳 田村都志夫 訳 矢川澄子 訳 |
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岩波書店 | |
「ふつうの国」に住むわたしは「望みの国」に行き、魔法学校に通うムークとマーリと知り合い、魔法の授業を見学をすることが許されます。魔法学校のジルバー先生は子どもたちに「自分の中にある望む力をよく知って、いかにじょうずに生かすことができるかを習う」のが魔法の勉強なのだと教えます。子どもたちは学ぶごとに魔法が上達していきますが、わたしが「ふつうの国」に帰る最後の日になり事件が起こります。(表題作「魔法の学校」) この本は1996年に上製本として刊行された「魔法の学校―エンデのメルヒェン集」から10編を選んで少年文庫にされたものです。 |
夏緑 著 末藤久美子 絵 |
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童心社 | |
地震や火山が非常に多い日本列島では、いつどの山が噴火するかわかりません。見た目ではわからなくても、実は生きている火山が多いことがあらためてこの本で確認できます。地球の内部や宇宙がどうなっているか、火山とは切り離せないことにも言及してあり、火山についての視野が広がります。最後には火山が噴火した場合の対応も載っていて、参考になります。 |
ブライアン・フロッカ 作/絵 日暮雅通 訳 |
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偕成社 | |
1869年、アメリカ大陸横断鉄道が完成しました。それまで東海岸から西海岸に行くためには、馬車や船を利用して約6ヶ月もかかる長旅でした。この鉄道の完成によって、約一週間で旅することができるようになりました。巨大な蒸気機関車が一週間分の旅の切符を持った乗客をのせてさあ出発です。 鉄道沿いの風景、機関車のしくみ、乗務員の仕事など、迫力のある細かい絵で描かれています。 |
5月
藤澤ともち 作 佐藤真紀子 絵 |
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講談社 | |
小6の優也の家はちょっと変わっています。優也と一緒に暮らすとうちゃんはお父さんではないし、ババちゃんはユーレイなんです。苦しいことも悲しいこともあるけれど、それを乗り越えていく優也は今日も元気です。第18回ちゅうでん児童文学賞大賞受賞作品です。 |
クリストフ・ブトン 文 ジョシェン・ギャルネール 絵 伏見操 訳 |
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岩崎書店 | |
「10代の哲学さんぽ」最終巻です。常に隣り合わせている「時間」。「時間ってなに?」ってきかれたら、気に留めているようで気にしていないことに気づきます。時間について改めて考えること自体が、すでに哲学していることになるかもしれません。時間について書かれている本の作者や哲学者の紹介もあります。 |
スティーブ・パーカー 著 | |
六耀社 | |
珍しいものから身近に見ることができるものまで様々な岩石や鉱物が載っています。各ページごとに、見やすい大きな写真入りで、石のデータ(色・外観・産地・重さ・硬度など)の解説付きです。「石の不思議さ」をじっくり観察できる1冊です。最終ページには、用語解説も載っています。 |
6月
城島充 著 | |
講談社 | |
パラリンピックの日本人メダリストを支える競技用車いす。日本で初めて個々の選手の体に合った機器を開発したメーカーの話しです。介護用とはまったく違い、かっこよくて機能的で独自の工夫が凝らされていることが分かります。テニスの国枝選手や陸上の佐藤選手等とのエピソードや、最近普及してきている子ども用の競技用車いすの状況も紹介されていて、障害をもつすべての人がスポーツを楽しめるようにとの思いが伝わってきます。 |
せいのあつこ 著 | |
PHP研究所 | |
6年生の文香のクラスの大林くんが学校に来なくなりました。学級会でクラス全員が一人ずつ大林くんに手紙を書くことが決まり、文香はあたりさわりの無い手紙を書いて提出します。先生にも「はい。いいですよ」といわれたので文香はそれが【正解】だと安心します。 しかし、文香はひょんなことからクラスメイトの手紙をみることになってしまいます。きちんと自分の気持ちを書いているみんなの手紙を目の当たりにして、自分のウソの手紙を恥ずかしく感じた文香は、「いつかちゃんとした手紙を書きます」とだけ書き、大林くんの家のポストに入れます。 ちゃんと自分の気持ちを手紙に書かなくてはと悩む文香は、大林くんのことを知るために勇気を出して行動しはじめます。――自分が本当はどう思っているのか、自分の気持ちに向き合っていく少女の成長の物語です。 |