本文へ移動

「世田谷区家庭読書の日」にお届けするおはなし 第29回  たいせつなことは、目に見えないんだよ〜『星の王子さま』

世田谷区では、「毎月23日は、世田谷区家庭読書の日」として家庭での読書をすすめています。 

 毎月23日に図書館職員が子どもの本のことや図書館での楽しい出来事をお届けしています。

 第29回 たいせつなことは、目に見えないんだよ〜『星の王子さま』

 hosino.jpg

『星の王子さま 新版(岩波少年文庫)』サン=テグジュペリ作 内藤濯訳(岩波書店)

 私が幼稚園児だったころ、今は亡き父が、毎週少しずつ読んでくれた思い出深い本です。子どもには難しい内容だったけれど、土曜日の午後(当時土曜日は半ドンでした。半ドンはご存知ですか?)いつもワクワクして聞いていたものです。幼馴染の親友も、畳に寝そべって一緒に読んでもらいました。彼女はそのことをよく覚えていて、とても楽しかったと言って、大人になってから『星の王子さま』の朗読CDを私にプレゼントしてくれました。

 哲学的な意味は大人になってから気が付きましたが、子ども当時の一番印象深いものは、ゾウを丸呑みにしたウワバミの絵でした。父は、お話を読み始める前に、帽子のような何だかよくわからない挿絵を私に見せて、「これ何だと思う?」と聞いてきたことを覚えています。読み手の父自身も、その時間を心から楽しんでいたのでしょう。他にも父に読んでもらった本はあったのだろうけど、覚えているのはこの本だけで、私にとってとても大切な本となりました。

 フランスの作家で飛行士でもあった、サン=テグジュペリによって書かれた『星の王子さま』。1943年の初版以来、世界中で翻訳され、聖書に次ぐベストセラーと言われています。私の宝物は内藤濯(ないとうあろう)氏の訳ですが、今ではいろいろな訳者の本が出ているので、読み比べて違いを楽しむこともできます。訳が違うと、全く違った印象になるので驚きます。私にとってのオリジナルは内藤氏訳ですが、新訳の本は、内藤氏のものよりかなりわかりやすくなっていると感じます。

 本作は、生命や愛、絆といった普遍的なテーマを描いているからこそ、読むたびに違った味わいを楽しむことができます。時代を超えて読み継がれる本は、家族で共有する、楽しい時間にぴったりなのではないでしょうか。

  「世田谷区家庭読書の日」にお届けするおはなし第1回〜28回はこちら