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「世田谷区家庭読書の日」にお届けするおはなし 第21回 心をつなぐ絵本「いないいないばあ」

世田谷区では、「毎月23日は、世田谷区家庭読書の日」として家庭での読書をすすめています。 

 毎月23日に図書館職員が子どもの本のことや図書館での楽しい出来事をお届けしています。

 第21回 「いないいないばあ」

 保育士だった頃の思い出です。新年度になり新たに入園した子どもたちは不安でいっぱい。「おかあさん!どこにいっちゃったの?」「なんで置いて行っちゃったの?」と、泣いて不安を訴えています。
 ある日1歳児クラスをのぞいてみると、新入園児のKちゃんが保育士に抱かれ、力いっぱい泣いていました。私は保育士からKちゃんを引き受け、(お母さんがいなくて怖いよね。でも、泣かなくて大丈夫。ここは安心できる場所)と思いながら、Kちゃんの気分転換を図って園庭を歩きました。Kちゃんは少し落ち着いたものの、お部屋に戻るとまた泣き出します。

 そこで、「Kちゃん、くまちゃんがいたよ」と、本棚にあった 『いないいないばあ』松谷みよ子 ぶん/瀬川 康男 え(童心社)』の絵本を見せました。

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「ねずみちゃんもいる」「にゃにゃが ほらほら いないいないばあ」泣き声が少し小さくなりました。Kちゃんを膝に乗せて絵本をめくります。
「くまちゃんが ほらね いないいない ばあ」一瞬泣き止みました。
「こんどは だれだろ いないいない ばあ」泣き止んで本を見ました。
「こんこんぎつねも いないいない ばあ」次の言葉を待っています。
「こんどはのんちゃんが いないいない ばあ」 

  絵本がおしまいになったのが分かるとまた泣き出します。これは、「本がおもしろそうと思っただけで、あなたに心を許したわけじゃないんだから!」というKちゃんからのサイン。(ごもっともです。承知しておりますとも)
 最初から、「にゃあにゃが ほらほら…」泣き止んでじっと見ています。「いないいない ばあ」「にゃあにゃがいたねぇ」Kちゃんの頭越しに(にゃんにゃん いるいる)という思いが伝わってきます。

 こんなことを繰り返し、何度目かが終わった後、泣く前に「もう一回?」と聞いてみました。すると、緊張していたKちゃんの体からふっと力が抜けて「っかい!」と頷いています。
(っしゃー!!)と心の中でガッツポーズ。
 この後、楽しい「っかい!」がしばらく続いた事は言うまでもありません。

 

 『いないいないばあ』は、1967年に発行されて50年以上も読み継がれている絵本です。版元のホームページに「発行部数660万部を超える」とありました。これからも愛され、多くの赤ちゃんを笑顔にしていくことでしょう。

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