「世田谷区家庭読書の日」にお届けするおはなし 第40回 父の十八番「イソップ物語」
- 全館
- 掲載日2021年6月23日
-
世田谷区では、「毎月23日は、世田谷区家庭読書の日」として家庭での読書をすすめています。
毎月23日に図書館職員が子どもの本のことや図書館での楽しい出来事をお届けしています。
第40回 父の十八番「イソップ物語」
父が亡くなって1年が経とうとしている。父は都立高校の化学の教師だった。家には実験で使う道具が所狭しと並んでいたが、自身で実験するわけでも、私に教えてくれるわけでもなかった。父は口数も少なく、子どもたちと楽しく一緒に遊んでくれる人ではなかったが、夜の読み聞かせは父の担当だった。父の十八番は「イソップ物語」だ。
『イソップのお話 新版』河野与一編訳(岩波書店)
イソップ物語は、動物や自然現象といった様々なものを主人公とした寓話集であり、そこから道徳的教訓を読み取ることができるのが特徴となっている。
読み聞かせの後に朗々と教訓を語るのが父のお決まりだった。幼い私はこの父の教訓はピンとくるわけもなく、正直あまり歓迎するものではなかった。しかし、今読み返してみると、イソップ物語の持つ教訓は現代社会に通じる奥深い意味合いがあることがわかる。
「悩んだとき、イソップ物語の中に解決のヒントが隠されているかもしれないよ」と父はイソップ物語を通して人生の教訓を私に教えていたのかもしれない。今でも父の声が響く。「教訓!」
イソップ物語の本は、他にもたくさんあります。絵本もどうぞ。
『イソップ寓話集』中務哲郎訳(岩波書店)
『オオカミの話キツネの話-イソップ物語-』ピッロ・クニベルティ絵 ティツィアーナ・ロヴェルシ編 市口桂子訳(ワールドライブラリー)
『イソップ物語-13のおはなし-』いまいあやの文・絵(BL出版)
「世田谷区家庭読書の日」にお届けするおはなし第1回~第39回はこちら