「世田谷区家庭読書の日」にお届けするおはなし 第30回 音楽を奏でる絵本と出会う
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- 掲載日2020年8月26日
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世田谷区では、「毎月23日は、世田谷区家庭読書の日」として家庭での読書をすすめています。
毎月23日に図書館職員が子どもの本のことや図書館での楽しい出来事をお届けしています。
第30回 音楽を奏でる絵本と出会う
一冊の絵本にはもちろん楽しいお話が繰り広げられますが、同時に素敵な絵もありますよね。そして実は素晴らしい音楽が背景にあるものもあります。
モーツァルトの「魔笛」がそうです。
「魔笛」の絵本はいくつか出版されています。その中の一つをご紹介します。
・『魔笛』ミヒャエル・ゾーヴァ画・那須田淳文(講談社)
こちらの本はお話もわかりやすく、ゾーヴァのイラストもとても素敵です。聴きやすいフレーズのモーツァルトを流しながら読み聞かせしたり、挿絵の鑑賞でも楽しい絵本です。
我が家では絵本を読みつつ、最初は白々しく母の思惑で有名フレーズの曲を聴いてみたりしていました。ところがそれでは飽き足らず、DVDで約2時間のオペラ「魔笛」に家族ではまり、何度見たことでしょう。
聴いていて少し怖い曲も、絵本の場面が浮かんできて親近感が沸いてくるのです。子供が大きくなっても「絵本」以上の存在感で、音楽を楽しむ家族を見守ってくれている一冊です。
先に絵本をたまたま読んで、後から音楽があったことに気づいた本もあります。もっと早く知っていたら楽しかったのに、と今では思います。
「ピーターとおおかみ」です。
・『ピーターとおおかみ』セルゲイ・プロコフィエフ作・アラン・ハワード絵・小倉朗訳(岩波書店)
ロシアの作曲家プロコフィエフが、子供のために手掛けた組曲です。この本はロシアの民謡をもとに交響曲物語としてかかれました。
この民話的な親しみやすいお話に音楽が参加したら、とても躍動的な、小さいお子さんなら本当にソファーでぴょんぴょんジャンプしてしまうようなお話へかわります。あひる、小鳥、オオカミなどすべての登場人物にうまくそれぞれの楽器がはまって物語を生き生きと語りだします。
最近『きょだいなきょだいな』、『めっきらもっきらどおんどん』ともに長谷川摂子作(福音館書店)の作品がある、降矢ななさんのイラストでもこの本が出版されました。降矢ななさんの迫力ある絵がとっても魅力的です。
・『ピーターとオオカミ』セルゲイ・プロコフィエフ作・降矢なな絵・ペテル・ウフナール絵・森安淳文(偕成社)
一冊の本を開いて、物語を読みながら、絵を楽しみつつ、音楽も広がる。プロコフィエフの「ピーターとおおかみ」はオーケストラの交響曲版もありますが、ピアノだけのピアノ組曲もあります。ピアノ組曲は少し大きな音が苦手なお子さんでも安心して楽しめるかもしれません。そしてお子さんが大きくなったとき、ひょっとするとこのピアノ曲を練習される機会があるかもしれませんね。
おうちにいながらたっぷり時間をかけて音楽を奏でる絵本を芸術的に味わうのも、ステイホームの今ならではかもしれません。 「世田谷区家庭読書の日」にお届けするおはなし第1回~29回はこちら