「世田谷区家庭読書の日」にお届けするおはなし 第15回 「14ひきのシリーズ」
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- 掲載日2019年5月23日
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世田谷区では、「毎月23日は、世田谷区家庭読書の日」として家庭での読書をすすめています。
毎月23日に図書館職員が子どもの本のことや図書館での楽しい出来事をお届けしています。
第15回 家族といっしょ、自然といっしょ「14ひきのひっこし」「14ひきのあさごはん」
私が図書館に勤めてから再会したもの。それは、子どもの頃に読んでいた絵本や物語です。
きっと多くのお父さんやお母さんも、お子さんが産まれてから、自分が子どもの頃に読んだ本との懐かしい再会を果たしたのでは、と思います。
私は幼稚園に通っていた頃、いわむらかずおさんの「14ひきのシリーズ」(童心社)の絵本が大好きでした。私自身も山と田んぼに囲まれた自然豊かな土地に育ったため、14ひきのシリーズに描かれている自然豊かな世界が近くに感じられたのだと思います。
自分もまるで14ひきの家族の一員になって、一緒に新居に引っ越して水道が通ったら喜んだり、家族みんなで用意した朝ごはんにわくわくしたりと、14ひきの本の世界に入り込んだような感覚を味わっていました。
今思い返しても面白いのは、当時の私は、今の自分は9番目のきょうだいのくんちゃんと同じくらいの年だろうな、と冷静に判断していたこと。引っ越しの時や朝ごはんののいちごを取りにいく時は、家族の誰かしらに助けてもらいながら行動するくんちゃんと自分をオーバーラップさせながら読んでいました。
今や私も、14ひきのなかではお父さんやお母さんと同じくらいの世代になり、幼稚園の頃ほど14ひきの世界にすっぽり入り込むことはできなくなりました。でも大人になって、懐かしい絵本や物語と再会するたびに、当時の情景や感じたことを、鮮やかに思い出します。それは、本当に幸せな体験だと思うのです。
願わくば、そんな、幸せな体験をさせてくれる絵本や物語がこの先もずっと読み継がれていきますように。