「世田谷区家庭読書の日」にお届けするおはなし 第32回 夢を広げる「図鑑」の世界

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  • 掲載日2020年10月23日
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世田谷区では、「毎月23日は、世田谷区家庭読書の日」として家庭での読書をすすめています。 

 毎月23日に図書館職員が子どもの本のことや図書館での楽しい出来事をお届けしています。

 第32回 夢を広げる「図鑑」の世界

 子どものころ、家にあった一冊の魚の図鑑を、何度も読み返した思い出があります。地味で渋めのデザインの表紙に、迫力のある魚の図が目に浮かびます。古書販売に関わる仕事をしていた父が与えてくれた本だと思うのですが、どの出版社の何というタイトルの本かわかりません。ざっと魚類の書架を見たところ、ピンとくるものはなし。インターネットでそれらしい表紙の本を探してみるも、見当たらず。読んだという記憶だけはあるのに、内容についてはほとんど覚えていないのでした。ただ、図鑑に載っている魚たちがとても色鮮やかで、虹のように輝く鱗に目を奪われたのは覚えています

 もう一つ、夢中になって読んだ図鑑があります。『消しゴム図鑑』(1998年 楠田枝里子、光琳社出版)です。その名のとおり、著者が世界中から集めたさまざまな消しゴムたちを紹介した図鑑です。ハンバーガーやキャンディなどの食べ物から、お金や消火器など、身の回りの物にそっくりな消しゴムたちの写真が並んでいます。缶飲料やマヨネーズのビニールには、見慣れたようなロゴマークに精巧な文字が。実際にひねって分解できるという、蛇口の消しゴムなんて、本当に水道の水が出てきそうです。写真に添えられた著者のコメントには、その消しゴムとの出会いのエピソードやお気に入りのポイントなどがつづられていて、消しゴムへの愛が伝わってきます。出版から20年以上経った今では、さらに多くの種類の消しゴムが生み出されているに違いないと、夢がふくらむ本です。

 そして先日、新刊として送られてきた図書の中から偶然手に取って夢中になってしまったのが、『世界の鉱物・岩石・化石・貝 大図鑑』( スタジオタッククリエイティブ)です。

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 1ページいっぱいに掲載された美しい写真は、眺めているだけで楽しめ、「見る図鑑」と呼べる本だと思います。中でもアメジストの原石の写真は、祖母の家に置いてあったものとほとんど同じ形をしていたのでした。「あっ、この石のつぶつぶはなんだかご飯粒みたい」「こんなに綺麗な四角形がくっついている岩石があるなんて、自然って不思議!」なんて考えているうちに、時間があっという間に過ぎてしまいます。化石や貝まで幅広くまとめられているのは、地球科学という分野の奥深さを感じさせます。

同じく岩石や化石をテーマとした図鑑でおすすめしたいのが、『小学館の図鑑NEO 岩石・鉱物・化石』(小学館)です。

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 写真は小さめですが、岩石などについての成り立ちや歴史などが一つ一つ詳しく書かれており、調べ学習にぴったりの本です。身近な石の見分け方や、分類もわかりやすく載っているので、自然観察や家庭での実験あそびのきっかけにもなります。

 図鑑は、その分野の知識を得ることができるだけでなく、その生き物や物質、現象などを発見した人の、驚きやロマンが詰まっています。皆さんも図鑑から新しい世界への扉を開いてみませんか。思わぬところから、将来の夢や、新しい趣味が見つかるかもしれません。(N・K)

 「世田谷区家庭読書の日」にお届けするおはなし第1回~第31回はこちら

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