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10代向け講演会「イラストレーター佐竹美保さんの 挿絵と装画ができるまで」を開催しました

  • 掲載日2022年8月13日

 2022年8月7日(日曜日)の午後2時から、中央図書館3階「ぎんが」にて10代向け講演会「イラストレーター佐竹美保さんの 挿絵と装画ができるまで」を開催しました。
 今年度の講師は、挿絵画家の佐竹美保さんです。佐竹さんは、「魔女の宅急便シリーズ(3~6・特別編)」角野栄子作(福音館書店)「十年屋シリーズ」廣嶋玲子作(静山社)など、数多くの児童書の表紙や挿絵を手掛けています。

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 まずは、ご自身の子ども時代から、高校卒業後どのように絵の仕事を始めたのかをお話していただきました。
 児童書に携わっている佐竹さんですが、小さい頃は本を読まない子どもだったそうです。中学生になってから読書をするようになり、その中で『10月はたそがれの国』レイ・ブラッドベリ著、宇野利泰訳(東京創元社)の挿絵を見たことが、今の仕事につながっているとのこと。その後、出版社への持ち込みを始めた佐竹さん。その場で仕事を貰えることもあり、持ち込みでもらった仕事を、どんどん次の持ち込みや仕事に活かしながら、現在までお仕事を続けてきたそうです。

 次に、佐竹さんがお持ち下さった原画を投影しながら、挿絵や表紙ができるまでのエピソードをお話していただきました。
『虚空の旅人』上橋菜穂子作(偕成社)の表紙は、枠と中央の人物を別々に描き、後で合成して作られています。1枚の紙に描くと全体が似た系統の色になってしまいますが、別の紙に描くことで、異なる色味を表現しているそうです。

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「ハリーポッター シリーズ(新装版)」J.K.ローリング著、松岡佑子訳(静山社)は、最初に描いた表紙を翻訳者の松岡佑子さんに見せた後、一から描き直して今の表紙になったそうです。赤ペンでコメントが書かれた下書きなどもお持ち下さり、長い時間をかけて挿絵を製作していった様子が分かりました。

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各章タイトルの下にある小さなカットも、重大なネタバレにならないよう気を付けて描いているそうです。そういった部分を考えるのも、この仕事の楽しいところだとおっしゃっていました。

 質疑応答では、沢山の手が挙がりました。
「思ったように描けない時は、どうやって乗り越えていますか」「どんな画材を使用していますか」「40年間絵を描き続けるためには、どんなことに気を付けたらいいですか」など、講演内容に関する質問はもちろん、絵の仕事に興味のある立場からの質問が多く寄せられました。

 アンケートでは、「佐竹さんがあまり自分の思うイラストが描けない時、紙をやぶっているというのが衝撃でした」「佐竹さんの原画を見られて嬉しかった。印刷されている状態の本よりも原画の方が、絵の具の重なりなどが伝わってきてキレイだった」「佐竹さんのおはなしを聞いて、興味を持ったことには何にでもチャレンジしようと思いました」などの感想がありました。

 佐竹さんがお持ち下さった原画や資料は、なんと数十点!開演前と講演後に、参加者が自由に見ることができました。佐竹さんの来歴や挿絵の仕事の様子もたっぷりお話いただき、充実した講演会となりました。

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佐竹さんが挿絵や表紙を手掛けた作品はこちらです